体外循環式全身温熱療法を説明もなく紹介 [健康情報、本当の話]
体外循環式全身温熱療法をご存知ですか。温熱療法というのは、文字通り温めてがん細胞を殺す治療法です。現在、ハイパーサーミア（局所温熱療法）という、電極を挟んでがんの部位を外から温める治療法のみが保険適用になっています。つまり、ハイパーサーミアのみが正式な治療として認められています。
ただ、一部には、体外循環式全身温熱療法といって、がんの部位だけでなく、全身をめぐる血液の加温を用いる方法もあります。しかし、それはハイパーサーミアに比べてリスクと成果が見合わないため、保険の効く正式な治療ではありません。
一部の病院では、自由診療として体外循環式全身温熱療法を採用することもあるかもしれませんが、当たり前ですがハイパーサーミア（局所温熱療法）と体外循環式全身温熱療法の違い、そのリスクなどをきちんと説明する必要があります。
ところが、それをせずに放送で紹介してしまった、というのが今回の話です。
前回に引き続き、川竹文夫さんです。
これまで川竹文夫さんについて述べた記事は以下のとおりです。
>>がん経験者1124人が交流したといいますが？
>>闘病の体験談だけで真実はわからない
>>がんはライフスタイルを改めれば治るのか？
>>がんは免疫力で治るのか？
>>「5年生存率向上」という医学の進歩を否定する論理の矛盾
>>抗がん剤「4週間小さくなる」は無意味か？
>>がん治療を病院で行うのは“他力本願”なのか？
>>病院の治療は医師にお任せの“他力本願”ではない
>>カルト団体傘下の保険適用外治療を放送で取り上げる
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前回は、93年の「伝説の番組・教育テレビスペシャル『人間はなぜ治るのか』」（97年2月4日から3回にわたって放送）で紹介された病院が、統一協会系の病院ということをご紹介しました。
中身は番組の約半分の時間を使って4名の患者をとり上げていましたが、肝心の病院名は伏せられ、K病院とだけ紹介されていました。
3回シリーズのうち、1回目の放送で紹介された病院は実名であるにもかかわらず……です。
実名を出さないことで、すでに当時問題になっていた統一協会系病院であることを伏せる狙いがあったと勘ぐることもできます。
これでは、世間に騒がれないままテレビを見た患者が個人的に局に問い合わせて病院にアクセスすることが可能です。
しかも、前出の小林院長だけでなく、登場した医師も患者も統一協会の合同結婚式に出たというのですから、統一協会のPR番組だと批判されても仕方ないでしょう。
有田芳生さんの『「神の国」の崩壊』（教育史料出版会）には、NHK関係者の次のようなコメントも出ています。
「あの番組が放映された日は、電話応対の要員まで準備されていました。こういう質問があればこう答えろ、と。病院名は教えられないことや、天林（筆者注・小林院長のペンネーム）常雄さんのことを聞かれたら、統一教会を五年前に辞めたと答えるようになど、具体的に教えていたようです」
そして、著者の有田芳生さんもこう結びます。
「統一教会は合同結婚式だけでなく、信者がいまでも行っている霊感商法で社会問題になっている宗教団体だ。しかし、それでもなお、信者のなかには素晴しい治療を行っている者がいるとすれば、それこそNHKが言うように『特定の宗教団体に属していることをもって出演を選別することは基本的にあってはならない』はずだ。
NHKは彼らが統一教会員であることを知っていたのだから、堂々とその事実を明らかにし、広く視聴者に問うべきだった。それが公共放送の使命ではないだろうか」
当時、やはり統一協会系のフリースクールを取材して番組で採り上げた中村敦夫さんの番組も批判を受けました。
川竹文夫さんは放送人として、この件で今からでも道義的責任を感じなければなりません。有料でビデオの貸し出しなど言語道断です。
川竹文夫さん自身は、自分の求めている治療にあった病院だから採り上げた、と言い訳をするかもしれません。
しかし、そこで紹介された治療とは体外循環式全身温熱療法といわれるもので、以前は東京女子医大で行われていましたが、感染症など様々な問題から現在は行われていません。
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もちろん、保険適用も受けられません。ということは、効果が客観的に認知されていない上にリスクもあり、かつ莫大な医療費を取られるということです。
現在、保険の効く温熱療法というのは局所温熱療法（ハイパーサーミア）のみで、これとてあくまで三大療法の補助的な位置づけであり、がん撲滅の決定打にはなっていません。
番組では、そうした医学や医療の現状に対する説明も一切ありませんでした。
あなたはこれでも、川竹教の信者になれますか？
（次回に続く）
川竹文夫さんについて、詳しい論評はコチラ>>
ただ、一部には、体外循環式全身温熱療法といって、がんの部位だけでなく、全身をめぐる血液の加温を用いる方法もあります。しかし、それはハイパーサーミアに比べてリスクと成果が見合わないため、保険の効く正式な治療ではありません。
一部の病院では、自由診療として体外循環式全身温熱療法を採用することもあるかもしれませんが、当たり前ですがハイパーサーミア（局所温熱療法）と体外循環式全身温熱療法の違い、そのリスクなどをきちんと説明する必要があります。
ところが、それをせずに放送で紹介してしまった、というのが今回の話です。
前回に引き続き、川竹文夫さんです。
これまで川竹文夫さんについて述べた記事は以下のとおりです。
>>がん経験者1124人が交流したといいますが？
>>闘病の体験談だけで真実はわからない
>>がんはライフスタイルを改めれば治るのか？
>>がんは免疫力で治るのか？
>>「5年生存率向上」という医学の進歩を否定する論理の矛盾
>>抗がん剤「4週間小さくなる」は無意味か？
>>がん治療を病院で行うのは“他力本願”なのか？
>>病院の治療は医師にお任せの“他力本願”ではない
>>カルト団体傘下の保険適用外治療を放送で取り上げる
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前回は、93年の「伝説の番組・教育テレビスペシャル『人間はなぜ治るのか』」（97年2月4日から3回にわたって放送）で紹介された病院が、統一協会系の病院ということをご紹介しました。
中身は番組の約半分の時間を使って4名の患者をとり上げていましたが、肝心の病院名は伏せられ、K病院とだけ紹介されていました。
3回シリーズのうち、1回目の放送で紹介された病院は実名であるにもかかわらず……です。
実名を出さないことで、すでに当時問題になっていた統一協会系病院であることを伏せる狙いがあったと勘ぐることもできます。
これでは、世間に騒がれないままテレビを見た患者が個人的に局に問い合わせて病院にアクセスすることが可能です。
しかも、前出の小林院長だけでなく、登場した医師も患者も統一協会の合同結婚式に出たというのですから、統一協会のPR番組だと批判されても仕方ないでしょう。
有田芳生さんの『「神の国」の崩壊』（教育史料出版会）には、NHK関係者の次のようなコメントも出ています。
「あの番組が放映された日は、電話応対の要員まで準備されていました。こういう質問があればこう答えろ、と。病院名は教えられないことや、天林（筆者注・小林院長のペンネーム）常雄さんのことを聞かれたら、統一教会を五年前に辞めたと答えるようになど、具体的に教えていたようです」
そして、著者の有田芳生さんもこう結びます。
「統一教会は合同結婚式だけでなく、信者がいまでも行っている霊感商法で社会問題になっている宗教団体だ。しかし、それでもなお、信者のなかには素晴しい治療を行っている者がいるとすれば、それこそNHKが言うように『特定の宗教団体に属していることをもって出演を選別することは基本的にあってはならない』はずだ。
NHKは彼らが統一教会員であることを知っていたのだから、堂々とその事実を明らかにし、広く視聴者に問うべきだった。それが公共放送の使命ではないだろうか」
当時、やはり統一協会系のフリースクールを取材して番組で採り上げた中村敦夫さんの番組も批判を受けました。
川竹文夫さんは放送人として、この件で今からでも道義的責任を感じなければなりません。有料でビデオの貸し出しなど言語道断です。
川竹文夫さん自身は、自分の求めている治療にあった病院だから採り上げた、と言い訳をするかもしれません。
しかし、そこで紹介された治療とは体外循環式全身温熱療法といわれるもので、以前は東京女子医大で行われていましたが、感染症など様々な問題から現在は行われていません。
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もちろん、保険適用も受けられません。ということは、効果が客観的に認知されていない上にリスクもあり、かつ莫大な医療費を取られるということです。
現在、保険の効く温熱療法というのは局所温熱療法（ハイパーサーミア）のみで、これとてあくまで三大療法の補助的な位置づけであり、がん撲滅の決定打にはなっていません。
番組では、そうした医学や医療の現状に対する説明も一切ありませんでした。
あなたはこれでも、川竹教の信者になれますか？
（次回に続く）
川竹文夫さんについて、詳しい論評はコチラ>>
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