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「クローズアップ現代」にもあった“メタボ番組改編疑惑” [健康情報、本当の話]

「クローズアップ現代」といえば硬派な番組というイメージがあります。しかし、『週刊ポスト』(2007年6月15日号)には、NHKの看板番組『クローズアップ現代』の“番組改編疑惑”が報じられたことがあります。スケプティクスに見れば、その意味は大変重いといわざるを得ません。


2006年7月19日放送の「メタボリックシンドロームの衝撃」では、厚生労働省が採用した診断基準が、どういった影響を各方面に与えているかを紹介。



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メタボの普及は医療費抑制につながるという同省の説明と、一方で検診、保健指導で金がかかるという専門家の指摘が放送されました。後者で出演したのが、「ためしてガッテン」の捏造疑惑を告発した東海大教授の大櫛陽一さん(医療統計学)です。

もともと大櫛さんはメタボリックシンドロームの基準には科学的根拠がないとする立場です。この番組でも「医療費は6兆円以上増える」と、同省のキャンペーンを批判的に指摘しました。

「私は1時間以上にわたって取材を受け、基準を導く統計処理がおかしいことなども指摘しましたが、コメントは1分足らずのものでした。一応、批判的な意見も放送した、といういい訳的なものとして使われた気がします。もちろん、放送枠が決まっている以上、私の話を全て流すわけにはいかないでしょうが、あれでは国が進める政策の広報ではないかと思います」

大櫛さんは取材に来たディレクターに対し、こうアドバイスしたと言います。

「海外ではすでにメタボの概念自体に疑問の声が上がっている国もある。そのひとつであるアメリカのメタボ事情を取材したらどうか」「アメリカではもはやメタボよりも、タバコやトランス脂肪酸(マーガリンや外食産業の揚げ物に含まれる物質)など疾病のリスクを高める因子を排除しようとより具体的に動いている」

ディレクターも「非常に乗り気」だったのに、放送にそうした場面はなく、翌日ディレクターから大櫛さんに電話がかかってきたそうです。

「『アメリカにまで取材に行きましたが、残念ながら放送3日前にカットされることとなりました』と伝えてきたのです。ディレクター本人の意思に反してメタボに批判的な内容が削られてしまったという印象を私は抱きました」「NHKでは慰安婦問題を巡る番組改変疑惑があったが、私は今回も同じような印象を受けました」(大櫛さん)

厚生労働省の近年のメタボキャンペーンは、「医療費抑制」という「国策」の一環であるという疑いを持たざるを得ません。

しかし、日本の医療費はGDP比で先進7カ国中最下位、GDPの上位30カ国中21位(「OECD HEALTH DATA 2006」)です。むしろ他国に比べて医療費は低いのです。にもかかわらず、WHOの「World Health Report 2000」では、健康達成度が世界第1位、平等性が第3位とされています。



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これはどういうことか。科学技術や食生活の向上、そして医療技術の高さと皆健康保険制度など、日本の戦後社会の科学的文化的発展と制度的成熟が、国民生活を支えているからにほかなりません。

ところが、規制緩和だの行政改革だのさまざまな「改革」のかけ声のなかで、そうした社会を支えてきた制度や文化を、何を改めるべきものとし、何を発展させるべきものとするかといった詳細な議論もないまま、その全体を清算主義的に解体しているのが、ここ最近の日本の動きです。

たとえば、「医療費パンク」のネガティブキャンペーンに対して、疑ってみたことのある国民はどれだけいるのでしょうか。国のキャンペーンをそっくり鵜呑みにしないで、いったん「本当にそうか?」という立場に立ってみることです。強引な国策と疑似科学(的論法)は密接に結びついている、もしくは軌を一にしている、というのが筆者が常に感じていることです。

健康情報・本当の話

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  • 作者: 草野 直樹
  • 出版社/メーカー: 楽工社
  • 発売日: 2008/05
  • メディア: 単行本


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