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アガリクス・バイブル商法(3)使えるネタを無原則の論理矛盾 [健康情報、本当の話]

アガリクスのバイブル商法。有名な史輝出版の話を振り返る3回目です。過去2回についてはバックナンバーをお読みください。同社の『水溶性メシマコブで末期ガン早期消滅2』の第2部では、「腫瘍阻止率」でアガリクスがいちばんであることをまず宣伝しています。これは、アガリクスやメシマコブ、マイタケなど、キノコ系の抗がん健康食品にしばしば使われるサルコーマ180の試験によるとしています。

「サルコーマ180の試験」とは、マウスにサルコーマ180という腹水がんの細胞を接種してがんを発生させ、体内に定着したものを使う試験です。つまり、よそからがん細胞をもってくるわけです。

抗がん健康食品の根拠とされる動物実験はほとんどこれなのですが、これはリアルながんの試験としてふさわしくないんですね。

なぜから、がんというのは自分自身の細胞が変異して発生・成長するものです。

別の系統(品種)から発生したがん細胞を仕込んだところで、腫瘍が縮小したとしても、疾患に対する反応なのか、移植後の拒絶反応なのかがわかりません。

少なくとも即健康食品が「がんに効く」の証明となる試験ではないのです。

次に、同書ではキノコ系抗がん健康食品や抗がん剤がβーグルカンを抽出したものであることを説明。

そして、βーグルカンの濃度を高めるだけでは、抗がん効果が高まるというものではないとしています。

というのは、書籍が宣伝している「即効性アガリクス」は、キノコ系抗がん健康食品が売り物とするβーグルカン「だけでなく」、「アガリクスの全有効成分をまるごと100%摂取する」ことをセールスポイントとしているからです。

ところが、その差別化に、何ともトンチンカンな例を出しています。それは、2002年10月1日付の「毎日新聞」にでた記事です。

元大阪大医学部の藤本二郎医師が、マウスにレンチナン単独投与、抗ガン剤のシスプラチンだけ投与、シスプラチンとレンチナンを交代で投与と3つのグループについて調べたところ、レンチナンを投与したマウスは、単独、併用にかかわらず、心筋が線維化して、左心室と右心室を仕切る壁や心筋壁が薄くなる現象が見られたというものです。

レンチナンの主成分はアガリクスにも含まれているβーグルカンだから、キノコ系健康食品は危ないというのです。



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この著者は、自分で何を書いているのかわからなくなっているのかもしれません。

「即効性アガリクス」は、βーグルカン「だけでなく」「アガリクスの全有効成分をまるごと100%摂取する」ことをセールスポイントとしています。「だけでなく」ですから、「即効性アガリクス」にもβーグルカンは入っているわけです。

にもかかわらず、βーグルカンは危ないと思わせる実験などを紹介したら、それは逆に「即効性アガリクス」も危ない要素が入っていると言っているわけです。バイブル本で、宣伝すべきものを否定してどうするのですか。

だいいち、この試験はキノコ系健康食品はアブナイ論の根拠になっていません。なぜなら、その実験は高分子のβーグルカンを直接注射して血中に放り込む実験だからです。

アガリクスやメシマコブなど、キノコ系健康食品は経口ですから、そのまま血中に取り込まれるわけではありません。消化・分解されれば単糖で吸収されるし、分解されないものはそのまま排泄されるです。

そもそも健康食品の業者は、多糖類は高分子で吸収されないからこそ小腸の免疫器官を刺激して免疫力を高めるのだと宣伝しているのです。吸収されないことをウリとする商品なのに、注射で無理に吸収させる実験の話などしても反証にならないでしょう。

ちなみに、この「藤本実験」は、健康食品を批判的に見る人々もしばしば使う根拠です。「だから、キノコ系健康食品なんかやめろ」というわけです。



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そのような間違った批判は、結局このようなバイブル本にネタを与えるだけです。筆者が、批判的な人々に対して厳しい態度をとるのは、こういうことがおうおうにしてあるからです。

疑似科学大好き派は、使えそうなネタは無原則に何でも使いたがるのです。たとえ、自分への反論に向けられたものでも、片言隻句をこじつけて自分の「理論」の補強に使ってしまうのです。

彼らはいつも、批判的な人々が知ったかぶって言い放つことに対して、何とか自分の説に我田引水で使えないかと虎視眈々と狙っているのです。ですから、批判は的確で慎重でなければいけません。

最後に同書は、「即効性アガリクス」の具体的な説明に入り、最後は業者とおぼしき連絡先電話番号が書かれています。これこそは、まごうことなきバイブル本の結論です。

2004年4月に史輝出版は、「末期」だけをとった『ガンに一番効くアガリクスは何か』(師岡孝次監修)という本も出していますが、やはり体験談と宣伝で構成された焼き直し本でした。

しかし、バイブル本というのはいいかげんなものです。「即効性アガリクス」では「藤本実験」を紹介しておきながら、やはり同社の『50人が証言・水溶性アガリクスでガンが消えた』(菅野光男監修)では、水溶性のアガリクスは多糖類が分解され消化吸収がしやすくなったからいいのだとしています。

多糖類が分解されれば、「小腸の免疫器官を刺激して免疫力を高める」こともできなくなると思うのですが、分解された糖類が吸収されてどう機能するかなどは全く説明もされず、ただ「効果は従来のアガリクス製品よりはるかに高い」とだけ書いています。

詳しくはコチラ>>
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