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特定保健用食品と栄養機能食品

前回の続きです。

そこで、それを十分に発揮できるように構成された食品については、大枠では食品の中に属しても、通常の食品とは別のカテゴリを設けています。それを保健機能食品と呼び、そのひとつとして1991年、特定保健用食品(トクホ)という食品の新しいカテゴリが誕生しました。

特定保健用食品は、製品ごとに食品の有効性や安全性について審査を受け、表示について国の許可を受けています。それをクリアしたものは、「血圧の気になる方へ」や「血糖値の気になる方へ」というように、具体的に病名こそ記せないものの、特定の傾向から健康に対する効能効果を表示できるようになっています。

さらに2005年には、条件付き特定保健用食品といい、現行の特定保健用食品の許可の際に必要とされる科学的根拠のレベルには届かくても、一定の有効性が確認される食品については、限定的な科学的根拠である旨の表示をすることを条件として許可対象とされることになりました。

特定保健用食品は、乳酸菌飲料やペットボトルに入ったお茶などで見かけることがあります。

保健機能食品にはもうひとつ、栄養機能食品というものがあります。

法律上は、「食生活において特定の栄養成分の補給を目的として摂取をする者に対し、当該栄養成分を含むものとして厚生労働大臣が定める基準に従い当該栄養成分の機能の表示をするもの」(食品衛生法施行規則第21条第1項第1号シ)という定義ですが、要するに、ミネラル類(5種)やビタミン類(12種)など、人間の生命活動に不可欠な栄養素のなかで、とくに科学的根拠が医学的・栄養学的に広く認められたものが含まれていれば、その栄養成分の機能の表示ができるというものです。

つまり、特定保健用食品のように、その食品自体が「血圧の気になる方」にという書き方ではなく、たとえばね「栄養機能食品(カルシウム)」「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」というような表示が認められているものです。お菓子や清涼飲料水などに見かける表示です。

いずれにしても、保健機能食品には具体的に対象となる病名や薬理効果が記せるわけではありません。「食品が『平時』にはたらくものとすれば、医薬品は『緊急時』にはたらくもの」(瀬川至朗『健康食品ノート』岩波書店)というはっきりとした区別があることに変わりありません。

病気という「緊急時」になると、つい、藁にもすがる気持ちで、いわゆる「健康食品」に劇的な効果を期待することがあるかもしれません。しかし、国のルールに則って健康維持機能が認められている保健機能食品ですら、「『平時』にはたらくもの」でしかないのです。

医薬品とサプリメントの違いをきちんと知っておき、過剰な宣伝に幻想を抱いて通常行うべき治療の機会を逸さないようにしましょう。

食品に薬理的機能がうたえる場合
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