がんはライフスタイルを改めれば治るのか? [健康情報、本当の話]
がんはライフスタイルを改めれば治る。ライフスタイルの間違いを知らせてくれている。だからがんに感謝しろ。そう説く人々がいます。感謝するかどうかは個々の考え方の問題なのでここでは言及しませんが、看過できないのは、がんは本当にライフスタイルを改めたら治るのか、ということです。前々回から触れている川竹文夫さんもそう説く一人です。
川竹文夫さんは、NHKのディレクターでしたが、44歳だった1990年に腎臓がんが発覚。
腎臓の片方をすべて摘出したものの、「2~3年以内には、肺や脳に転移するだろう」と宣告されたがん経験者です。
以来、NPO法人ガンの患者学研究所(ガン患研)を設立し、講演会やビデオ、書籍の頒布を行うようになったそうです。
川竹文夫さんは、NPO法人ガンの患者学研究所(ガン患研)から自分の説をまとめた3本のビデオ「ガン・完全治癒の法則」を頒布しています。
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第1巻には、がんについての基本的な考え方、第2巻は主に食事についての注意点、第3巻は世界のがん医療の現場はどうなっているか、といったこれからの見通しについて述べられています。
スタイルは全3巻、川竹文夫さんとフリーアナウンサーの武田はるかさんがホワイトボードを前にして向き合って立ち、川竹文夫さんがときおりボードを使いながら説明をし、武田はるかさんが相づちを打ったり質問をしたりするというやりとりで全巻貫かれています。
テレビ局のディレクターだった川竹文夫さんらしくない単純な設定ですが、「余計な演出や小道具は不要、自分のしゃべりが全て」という川竹文夫さんの自信のあらわれなのかもしれません。
第1巻から見ていきましょう。川竹文夫さんは、「本当は治りやすいがんという病気を、治りにくくしている元凶があるんです」と言います。
その原因として「勘違い四天王」と名付けた4点を挙げます。
ひとつは、「治療法(三大療法)の間違い」。その方法しか知らないという一辺倒の間違いといいます。
ふたつめが「イメージ」。がんは怖いというイメージはマイナスだといいます。
みっつめが、「治ったと思う気持ち」。原因を考えない治療をしても再発につながるとしています。
そして、「非告知」。患者本人にがんを知らせないことでがんと向き合えないからといいます。
さらに、がんは「結果」であり、その「原因」は、ライフスタイル、あやまった食事、心のあり方という3つの点にあるといいます。
他の民間療法家や健康食品の推進家同様、川竹文夫さんも病院で行う通常治療を評価していません。
川竹文夫さんの根拠は、ひとつにはこういうことがあります。
「治療(三大療法)をして目に見えるがんをなくしてしまうと、それで治った気になってしまう。そのことによって、がんになった原因の部分を省みることがなくなるから問題の解決にはならず、それはいずれ再発する」
心がけとして全く否定はできない面もありますが、少なくとも医学的には誤っている説明です。
厚生労働省は、がんを「生活習慣病」と呼びました。
1997年に世界ガン研究基金と世界ガン研究財団によってまとめられた「食品・栄養とガンの予防:世界的見地から」の中にある、いわゆる「ガン予防14か条」でも、食生活や運動不足、喫煙といった「ライフスタイル」に注視していることは確かです。
ですから、がんを「ライフスタイルによる病気」とすることは全く間違いとはいえません。
しかし、病気と生活習慣の関係は「複雑系」です。どのくらい喫煙してどの程度運動不足だといつがんになるか、ということがはっきりわかるわけではありません。
がんによっては遺伝が疑われることもあります。むしろ、実際の罹患について原因を厳密に特定することは今の医学ではできないといった方がいいでしょう。
また、いったんがんになってしまったら、たとえその原因として考えられることを改めたとしても、進行するがんが治癒するわけではありません。
たとえば、睡眠不足による疲労が蓄積した生活が続いた人ががんになったとして、では睡眠時間を増やせばがんは治るのでしょうか。
長年のヘビースモーカーががんになったとして、たばこをやめればその人はただちにがん細胞が消えるのでしょうか。そんなことはないでしょう。
つまり、予防と、がんが顕在化した時の治療は別なのだ、ということです。
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予防の段階では、ライフスタイルは大切です。
治療中、ライフスタイルを改めることも否定しません。
ここまでは川竹文夫さんの見解と対立しません。
ただし、ライフスタイルを改めれば治療しなくてもいいわけではない、ということです。
ここが、医学常識と川竹文夫さんの見解が決定的に違うところです。
現実に発生してしまったがんは、治療しなければどんどん大きくなってしまいます。
川竹文夫さんは、まるで「ライフスタイル(と食事と心)」を改めれば「治療」は要らないんだといわんばかりですが、「ライフスタイル(の改善)」と「治療」は、両立させなければならないでしょう。
しかも、「ライフスタイル」を具体的にどう改善すると治るのか、という客観的なデータを川竹文夫さんは示していません。
にもかかわらず、治療(三大療法)を否定するのは、川竹文夫さんの論理に従ってもおかしな話です。
そうした剣呑な主張をなぜ行うのか。それは、川竹文夫さんのがんのとらえ方が、そもそも医学的にわかっていることと両立しないものだからです。
(次回に続く)
川竹文夫さんについて、詳しい論評はコチラ>>
川竹文夫さんは、NHKのディレクターでしたが、44歳だった1990年に腎臓がんが発覚。
腎臓の片方をすべて摘出したものの、「2~3年以内には、肺や脳に転移するだろう」と宣告されたがん経験者です。
以来、NPO法人ガンの患者学研究所(ガン患研)を設立し、講演会やビデオ、書籍の頒布を行うようになったそうです。
川竹文夫さんは、NPO法人ガンの患者学研究所(ガン患研)から自分の説をまとめた3本のビデオ「ガン・完全治癒の法則」を頒布しています。
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第1巻には、がんについての基本的な考え方、第2巻は主に食事についての注意点、第3巻は世界のがん医療の現場はどうなっているか、といったこれからの見通しについて述べられています。
スタイルは全3巻、川竹文夫さんとフリーアナウンサーの武田はるかさんがホワイトボードを前にして向き合って立ち、川竹文夫さんがときおりボードを使いながら説明をし、武田はるかさんが相づちを打ったり質問をしたりするというやりとりで全巻貫かれています。
テレビ局のディレクターだった川竹文夫さんらしくない単純な設定ですが、「余計な演出や小道具は不要、自分のしゃべりが全て」という川竹文夫さんの自信のあらわれなのかもしれません。
第1巻から見ていきましょう。川竹文夫さんは、「本当は治りやすいがんという病気を、治りにくくしている元凶があるんです」と言います。
その原因として「勘違い四天王」と名付けた4点を挙げます。
ひとつは、「治療法(三大療法)の間違い」。その方法しか知らないという一辺倒の間違いといいます。
ふたつめが「イメージ」。がんは怖いというイメージはマイナスだといいます。
みっつめが、「治ったと思う気持ち」。原因を考えない治療をしても再発につながるとしています。
そして、「非告知」。患者本人にがんを知らせないことでがんと向き合えないからといいます。
さらに、がんは「結果」であり、その「原因」は、ライフスタイル、あやまった食事、心のあり方という3つの点にあるといいます。
他の民間療法家や健康食品の推進家同様、川竹文夫さんも病院で行う通常治療を評価していません。
川竹文夫さんの根拠は、ひとつにはこういうことがあります。
「治療(三大療法)をして目に見えるがんをなくしてしまうと、それで治った気になってしまう。そのことによって、がんになった原因の部分を省みることがなくなるから問題の解決にはならず、それはいずれ再発する」
心がけとして全く否定はできない面もありますが、少なくとも医学的には誤っている説明です。
厚生労働省は、がんを「生活習慣病」と呼びました。
1997年に世界ガン研究基金と世界ガン研究財団によってまとめられた「食品・栄養とガンの予防:世界的見地から」の中にある、いわゆる「ガン予防14か条」でも、食生活や運動不足、喫煙といった「ライフスタイル」に注視していることは確かです。
ですから、がんを「ライフスタイルによる病気」とすることは全く間違いとはいえません。
しかし、病気と生活習慣の関係は「複雑系」です。どのくらい喫煙してどの程度運動不足だといつがんになるか、ということがはっきりわかるわけではありません。
がんによっては遺伝が疑われることもあります。むしろ、実際の罹患について原因を厳密に特定することは今の医学ではできないといった方がいいでしょう。
また、いったんがんになってしまったら、たとえその原因として考えられることを改めたとしても、進行するがんが治癒するわけではありません。
たとえば、睡眠不足による疲労が蓄積した生活が続いた人ががんになったとして、では睡眠時間を増やせばがんは治るのでしょうか。
長年のヘビースモーカーががんになったとして、たばこをやめればその人はただちにがん細胞が消えるのでしょうか。そんなことはないでしょう。
つまり、予防と、がんが顕在化した時の治療は別なのだ、ということです。
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予防の段階では、ライフスタイルは大切です。
治療中、ライフスタイルを改めることも否定しません。
ここまでは川竹文夫さんの見解と対立しません。
ただし、ライフスタイルを改めれば治療しなくてもいいわけではない、ということです。
ここが、医学常識と川竹文夫さんの見解が決定的に違うところです。
現実に発生してしまったがんは、治療しなければどんどん大きくなってしまいます。
川竹文夫さんは、まるで「ライフスタイル(と食事と心)」を改めれば「治療」は要らないんだといわんばかりですが、「ライフスタイル(の改善)」と「治療」は、両立させなければならないでしょう。
しかも、「ライフスタイル」を具体的にどう改善すると治るのか、という客観的なデータを川竹文夫さんは示していません。
にもかかわらず、治療(三大療法)を否定するのは、川竹文夫さんの論理に従ってもおかしな話です。
そうした剣呑な主張をなぜ行うのか。それは、川竹文夫さんのがんのとらえ方が、そもそも医学的にわかっていることと両立しないものだからです。
(次回に続く)
川竹文夫さんについて、詳しい論評はコチラ>>
ご訪問&nice!ありがとうございました。
ガンはコワイですよね。
先々月に父が大腸がんの手術をしてようやく、身近な病気であると実感しました。
by かずっちゃ (2010-10-29 15:04)