水道水は本当に危ないの?(2)総トリハロメタンが外国より多いという嘘を暴く! [健康情報、本当の話]
水道水は本当に危ないのか、前回は残留塩素について述べました。今回は、水道水を危ないとするもうひとつの問題点、トリハロメタンについて書きます。トリハロメタンは、水道水に塩素処理を行うことで生じる新たな有害物質です。
たとえば、水道水のもととなる川の水には、植物が枯死して分解したときにできる腐植質が含まれています。それが塩素を入れることで化学反応を起こしトリハロメタンを発生するわけです。
トリハロメタンには発がん性が指摘されているため、水回りの業者は、そこを強調して水道水が危険であることを絶叫し、自分たちの商品を買わせようとしています。
本当に、危険なのでしょうか。
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これも、東京都水道局に尋ねました。
水道局では、こちらも「水道水中に含まれる総トリハロメタンの量は、常に水質基準値(0・1mg/リットル)以下であり安全性に問題はありません」(同)としています。
「総トリハロメタン」という言葉が出てきましたが、トリハロメタンというのはクロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルムの4種類が該当し、それぞれの数値の合計を「総トリハロメタン」の数値としています。
総トリハロメタンは、生涯にわたり水を飲んでも人の健康に影響が生じない水質基準が我が国では0・1mg/リットル以下と決められています。
都内123箇所の水質検査については、塩素やトリハロメタンだけでなく、農薬類やウラン、臭気などの調査結果もホームページで公開されています。(http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/w_info/s_kekka-map.htm)。
東京以外の自治体についても、水道法よりも厳しい基準を設置しており、たとえば、浄水場では有機物を分解するためにオゾンを使用し、有機物から塩素化合物ではなく、酸化物ができるような処理を施してトリハロメタンを少なくするような努力もしています。いずれにしても、どちらも基準値以内ということです。
しかし、中村三郎さんの『水道水も危ない!』(酣燈社)に言わせると、「〇・一ppm以下というのは果たして安全基準なのかどうか」と、我が国の基準値そのものが不服なようです。
トリハロメタンの基準値が、WHOでは0・03ppm以下、ドイツは0・025ppm以下だから、「これらの基準値に比べれば日本の水道水は基準値を大幅に超えており、飲料水として失格」と断じています。
本当に失格なのでしょうか。実は、これほどインチキな文句もありません。
というのは、我が国が定めているのは「総トリハロメタン」です。それは前出の4種類の合計値であり、それが「0・1mg/リットル」と定められているのです。
ところが、WHOが定めた「0・03ppm以下」というのは、その中の一つであるクロロフォルムだけの値です(さらに、現在のWHOではクロロフォルムの数値自体「0・03」ではなく「0・3」になっていることも付記しておきます)。
WHOには、「総トリハロメタン」の基準値は設定されていません。
ひとつひとつの基準についてみると、我が国の基準がWHOのそれを上回るものはありません。WHOの基準4種類を合計した「総トリハロメタン」は0・46mg/リットルで、我が国の定めた「0・1mg/リットル」を超えています。
つまり、「大幅に超えている」のはWHOの方であり、実際は我が国の基準はWHOよりも厳しいのです。
川崎市水道局(水質課)は、我が国の基準よりもWHOの基準が高くなる理由についても教えてくれました。
「日本の水道水質基準は、LOAEL(最低副作用発現量:副作用がみられた1日当たりの最低摂取量)を基に不確実係数(1000)、飲料水の寄与率20%、体重50kgの人が1日2L水を飲むと仮定して評価値を定めています。WHOでは飲料水寄与率10%、体重70kgの人を仮定して計算しているので日本の基準よりは高い値に設定されています」
不確実係数というのは、動物実験の値をそのまま人間に当てはめられるのか、また人間の個人差はどれだけあるのか、といったことがわからないため、あえて数字を大きく取ってより厳しくみるための係数です。
寄与率というのは、化学物質の曝露は飲料水だけではなく空気や食物などもあることから、水道水での暴露がその中の何%かであることを示すものです。どちらも、より安全に、より厳しくその数字を設定するための手続きです。
いずれにしても、中村三郎さんのような真逆な論拠で「水道水が危険」などとナンクセつけられたら、水道局もたまったものではないでしょう。
また、ドイツについては、東京都、川崎市両水道局の見解をご紹介します。
「消毒用塩素の使用が、義務づけられていないこと、複数の国で同一水系からの水利用を行っているなどの理由で低い評価値になっていると思われます」(川崎市)
「ドイツでは水道水の残留塩素の基準はないため、有機物と塩素が化合してできるトリハロメタン物質の基準値を日本の水質基準と比較することは適当ではありません。(微生物に関する基準値を達成する必要がある場合に限って遊離塩素0・1mg/リットルを法的に要求しています)」(東京都)
何より、現実の数値を見ればはっきりします。たとえば、筆者の地元の東京・六郷浄水場は「総トリハロメタン」が0・018ppmです。後にも述べますが、中村三郎さんによれば原水が「日本で最も汚染度が高い河川」であるとする金町浄水場では0・019ppm、大阪・枚方は0・01ppm未満(2007年11月、中宮浄水場水質試験結果)です。
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この程度なら、生水を沸騰させれば解決できる濃度です。
何より、水道局の数値は各水道局サイトから正々堂々とオフィシャルに公開されているものです。
水道事業者がこうした数字をきちんと公開しているのに、あたかも飲用に不適なほど汚染されているように書き募るのは、いたずらに国民を不安に陥れるデマゴギーに他なりません。
もちろん、万が一にでも水道局側に数字の偽りがあれば問題ですが、中村三郎さんにそういう情報でもあるというのでしょうか。そうでなければ、この部分は強く批判と抗議の意を示すべき箇所だと思います。こんなデタラメは許せません。
たとえば、水道水のもととなる川の水には、植物が枯死して分解したときにできる腐植質が含まれています。それが塩素を入れることで化学反応を起こしトリハロメタンを発生するわけです。
トリハロメタンには発がん性が指摘されているため、水回りの業者は、そこを強調して水道水が危険であることを絶叫し、自分たちの商品を買わせようとしています。
本当に、危険なのでしょうか。
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これも、東京都水道局に尋ねました。
水道局では、こちらも「水道水中に含まれる総トリハロメタンの量は、常に水質基準値(0・1mg/リットル)以下であり安全性に問題はありません」(同)としています。
「総トリハロメタン」という言葉が出てきましたが、トリハロメタンというのはクロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルムの4種類が該当し、それぞれの数値の合計を「総トリハロメタン」の数値としています。
総トリハロメタンは、生涯にわたり水を飲んでも人の健康に影響が生じない水質基準が我が国では0・1mg/リットル以下と決められています。
都内123箇所の水質検査については、塩素やトリハロメタンだけでなく、農薬類やウラン、臭気などの調査結果もホームページで公開されています。(http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/w_info/s_kekka-map.htm)。
東京以外の自治体についても、水道法よりも厳しい基準を設置しており、たとえば、浄水場では有機物を分解するためにオゾンを使用し、有機物から塩素化合物ではなく、酸化物ができるような処理を施してトリハロメタンを少なくするような努力もしています。いずれにしても、どちらも基準値以内ということです。
しかし、中村三郎さんの『水道水も危ない!』(酣燈社)に言わせると、「〇・一ppm以下というのは果たして安全基準なのかどうか」と、我が国の基準値そのものが不服なようです。
トリハロメタンの基準値が、WHOでは0・03ppm以下、ドイツは0・025ppm以下だから、「これらの基準値に比べれば日本の水道水は基準値を大幅に超えており、飲料水として失格」と断じています。
本当に失格なのでしょうか。実は、これほどインチキな文句もありません。
というのは、我が国が定めているのは「総トリハロメタン」です。それは前出の4種類の合計値であり、それが「0・1mg/リットル」と定められているのです。
ところが、WHOが定めた「0・03ppm以下」というのは、その中の一つであるクロロフォルムだけの値です(さらに、現在のWHOではクロロフォルムの数値自体「0・03」ではなく「0・3」になっていることも付記しておきます)。
WHOには、「総トリハロメタン」の基準値は設定されていません。
ひとつひとつの基準についてみると、我が国の基準がWHOのそれを上回るものはありません。WHOの基準4種類を合計した「総トリハロメタン」は0・46mg/リットルで、我が国の定めた「0・1mg/リットル」を超えています。
つまり、「大幅に超えている」のはWHOの方であり、実際は我が国の基準はWHOよりも厳しいのです。
川崎市水道局(水質課)は、我が国の基準よりもWHOの基準が高くなる理由についても教えてくれました。
「日本の水道水質基準は、LOAEL(最低副作用発現量:副作用がみられた1日当たりの最低摂取量)を基に不確実係数(1000)、飲料水の寄与率20%、体重50kgの人が1日2L水を飲むと仮定して評価値を定めています。WHOでは飲料水寄与率10%、体重70kgの人を仮定して計算しているので日本の基準よりは高い値に設定されています」
不確実係数というのは、動物実験の値をそのまま人間に当てはめられるのか、また人間の個人差はどれだけあるのか、といったことがわからないため、あえて数字を大きく取ってより厳しくみるための係数です。
寄与率というのは、化学物質の曝露は飲料水だけではなく空気や食物などもあることから、水道水での暴露がその中の何%かであることを示すものです。どちらも、より安全に、より厳しくその数字を設定するための手続きです。
いずれにしても、中村三郎さんのような真逆な論拠で「水道水が危険」などとナンクセつけられたら、水道局もたまったものではないでしょう。
また、ドイツについては、東京都、川崎市両水道局の見解をご紹介します。
「消毒用塩素の使用が、義務づけられていないこと、複数の国で同一水系からの水利用を行っているなどの理由で低い評価値になっていると思われます」(川崎市)
「ドイツでは水道水の残留塩素の基準はないため、有機物と塩素が化合してできるトリハロメタン物質の基準値を日本の水質基準と比較することは適当ではありません。(微生物に関する基準値を達成する必要がある場合に限って遊離塩素0・1mg/リットルを法的に要求しています)」(東京都)
何より、現実の数値を見ればはっきりします。たとえば、筆者の地元の東京・六郷浄水場は「総トリハロメタン」が0・018ppmです。後にも述べますが、中村三郎さんによれば原水が「日本で最も汚染度が高い河川」であるとする金町浄水場では0・019ppm、大阪・枚方は0・01ppm未満(2007年11月、中宮浄水場水質試験結果)です。
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この程度なら、生水を沸騰させれば解決できる濃度です。
何より、水道局の数値は各水道局サイトから正々堂々とオフィシャルに公開されているものです。
水道事業者がこうした数字をきちんと公開しているのに、あたかも飲用に不適なほど汚染されているように書き募るのは、いたずらに国民を不安に陥れるデマゴギーに他なりません。
もちろん、万が一にでも水道局側に数字の偽りがあれば問題ですが、中村三郎さんにそういう情報でもあるというのでしょうか。そうでなければ、この部分は強く批判と抗議の意を示すべき箇所だと思います。こんなデタラメは許せません。
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