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水道水は本当に危ないの?(3)MX(ミュータントX) [健康情報、本当の話]

水道水は本当に危ないのかどうか。前々回は残留塩素、前回はトリハロメタンをとりあげました。このふたつは比較的「メジャー」な問題点です。が、水道水を危ないとする人たちは、次々いろいろな危機を持ち出します。それら以外には、MX(ミュータントX)といわれているものを材料にした煽りもあります。

中村三郎さんの『水道水も危ない!』(酣燈社)という危険煽り本の水道水誹謗はこれに留まりません。

中村さんは、1990年に東京工業大学工学部・鈴木規之助手が水質汚濁学会で、水道水中にはMX(ミュータントX)という変異原性を示した物質が検出されたと報告したことを取り上げています。



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「(MXは)細胞のDNAの遺伝情報に直接ダメージを与え、その結果、ガンのほか、奇形、流産、死産など、さまざまな病気を誘発する」

これを読む限りでは怖い話です。同書では、東京の本郷と金町の水道水から、3・8ng(ナノグラム)/リットル、高島平から3ng/リットル、大阪の枚方で5・2ng/リットル検出されたとしています。

これらの原水はいずれも、「日本で最も汚染度が高い河川ばかり」といいますが、ナノグラムをミリグラムに直せば、枚方の場合で0・0000052mg/リットルに過ぎません。

現在の水道水の水質基準目標値で、これほど低いものはありません。ですから、我が国でははじめからMXは検査項目に入っていません。要するに、水道水中に含まれていても問題にならないほど低い濃度ということです。

それだけではありません。

同書が出た12年も前(1994年)に、関秀行さんの『誤解だらけの水道水』(草風館)で、MX騒動はすでに解決済みであることが書かれています。



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「現実に、塩素化有機物の一つであるMXは、変異原性陽性でも、実験動物による発ガン性試験ですら陽性の結果が出てきていません」

その後、追試で新しい結果が出たという話はないし、同書でもそうした報告は出できません。つまり、中村さんは解決済みで新しい情報もないことを蒸し返して、「危ない、危ない」と書いているだけなのです。これも無責任きわまりない話です。

欧州のフィンランドでは最大で67ng/リットル検出されたという報告もあります。中村さんは、先のトリハロメタンの基準値のところでドイツを引き合いに出していますが、なぜ、ここではそれをしないのでしょうか。

その後も、同書は「60種類もある有害物質」として、化学物質をあげてがんの原因になると書いていますが、一方で、水道設備の普及とともに胃がんの罹患が減っているという指摘もあることをどう説明するつもりでしょうか。

健康情報・本当の話

健康情報・本当の話

  • 作者: 草野 直樹
  • 出版社/メーカー: 楽工社
  • 発売日: 2008/05
  • メディア: 単行本


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