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正しい食事が一生を決める?

分子栄養学を標榜する山田豊文さんは、『細胞から元気になる食事』(新潮社)の中で、「正しい食事が一生を決める」「細胞から元気になる」「正しい主食で病気知らず」「肉を食べ過ぎない」「牛乳を飲まない」「ビタミンやミネラルは『天然のドーピング』」といった主張を行っています。

「肉を食べ過ぎない」というのは一見当たり前ですが、平均して肉の摂取量が多いとはいえない日本人に対してこのような書き方は、「今よりも食べないようにしなさい」という事実上肉禁忌の意図を解釈できます。牛乳も禁忌だそうですが、具体的な根拠は示していません。

筋肉を作るためには「マグネシウムや亜鉛などのミネラルやビタミンB6といったほかの栄養素も欠かせません。これらはいわば、リスクのない『天然のドーピング』なのです」としていますが、どんなものでもリスクのないものはありません。

たとえば、山田さんが強調する「ビタミンB6」は、本来なら水溶性で尿とともに排出されてしまう比較的安全なもののはずですが、それでも厚生労働省は男女それぞれの年齢層ごとに摂取量を定めています。つまり、際限なく摂取することは推奨されていないのです。

山田さんは、ご自身の指導がスポーツ選手に生かされていることを自慢しています。

たとえば、同書では玄米食を西武ライオンズに勧め、同球団が「グループ単位で改革に踏み切った」ことも書いています。同球団の玄米食導入は広岡達朗監督の時代から話題になっていました。

広岡さんは現役時代から、味噌の方が体にいいからといって、すき焼きまでみそ味にするほど食事に気を使っていましたが、ご自身は西武監督時代も通風に悩まされていました。

さらに、西武の姿勢に福岡ソフトバンクホークスの王監督も刺激を受け、ホークスでも「食の改革が実行」されたそうですが、その王さんは胃がんになってしまいました。

これらの出来事は、人間の体のコンディションは食べ物だけで解決するほど甘くない、ということを雄弁に物語っているのではないでしょうか。


『健康情報・本当の話』 草野直樹=著 328ページ 定価2100円(本体2000円+税)

正体不明の健康食品から癌の代替療法、みのもんたと「おもいッきりテレビ」、倖田來未の「羊水が腐る」発言まで、さまざまなメディアに氾濫するデタラメな健康情報。これらの情報を豊富な資料と独自の取材を通じて検証し、誰もが気になる「本当のトコロ」を明らかに。さらに、健康情報に対するまっとうな接し方を示す。ヘルス・リテラシーが身につく一冊。
【目次】
第1章 危ない健康食品
第2章 健康観と治療法の疑似科学
第3章 テレビの健康情報
第4章 危機煽り本の危うさ
第5章 芸能人の健康情報
第6章 “怪しい健康情報”からわかったこと
タグ:山田豊文
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風船かずら

食べ物だけで解決できるかというとたしかにそうではなさそうですね。人間の体はとても複雑で、同時にとてもシンプルなようにも感じます。


by 風船かずら (2010-09-13 14:45) 

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