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「5年生存率向上」という医学の進歩を否定する論理の矛盾 [健康情報、本当の話]

「5年生存率向上」。がん治療については、5年を一区切りと見て、その時点での生存率が向上したことをもって、治療法が奏功したと考えます。ところが、通常医療を否定する人たちの中には、医学で言う「5年生存率向上」なんてまやかしなんだ、ちっとも「向上」なんかしていないんだ、と言い張る人たちがいます。本当にそうなのでしょうか。


NPO法人ガンの患者学研究所(ガン患研)代表の川竹文夫さんのビデオから引き続き見ていきます。

これまで見てきたように、川竹文夫さんは一見、三大療法自体は否定していないように聞こえますが、その治療一辺倒ではいけないと言っているわけですから、事実上の否定と見ていいでしょう。



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たとえば、自ら「がんは怖いというイメージはマイナス」としていながら、通常の治療を否定するために、ビデオではこんなネガティブなことまで言っています。 

「よく、5年生存率といいますよね。5年生存すると、一応、そのがんは治ったことになる。無罪放免になる。この5年生存率は、だんだん増えている。向上している。成績が良くなっている。それだけ聞くとね、がんという病気は、本当に治りやすくなってきたんだなあと思う。

でも、実はがんで亡くなる人の数は増えているんですよ。ひとつは、そもそもがんになる人が増えているからなんですが、なったからといって、死ななければならないと言うことではない。治せばいいんだから。でも、がんになったら死んじゃう人がいると、残念ながら。それはですね、やっぱりさっき言ったように治療法が悪い」

さらに、「5年生存率」自体に、「からくりといえるウラがある」とまでいいます。

「今は1センチぐらいだとがんが認識されるんですけど、かりにこれが5センチ……、5センチの人がいると心配するので、50センチ(としておきましょう)。昔はこれぐらいでないと発見できなかった。

まあ、20年ぐらい前ですと、患者さんが医者の前に姿を現すと、(余命が)本当に1年とか半年とか、そういう状態だった。それで5年生存率が低い。それが、今は、1センチで発見できる。1センチのがんが、5センチとかなるには何年もかかりますよね、当然。

それが、今度は5ミリで発見できるとなると、これが1センチになるまで、3年とかかかりますから、すると、あと2年生きれば5年生きたことになるんです。発見技術、診断技術が進歩すればするほど、以前より生きているわけではないのに、5年生存達成しやすくなりますね。

ということは、治療法が進歩したんじゃないんです。以前ならがんじゃなかった人が、がんだと言われるようになったと。そういうことなんです。がんは依然として(病院の治療では)治りにくいんです」

川竹文夫さんの話を簡単にまとめましょう。

川竹文夫さんは要するに、医学は以前に比べて、より早期の段階でがん発見できるようになったから、つまり発見時からの余命期間が長く見えるようになっただけだと言っているわけです。

つまり、がんの診断技術が上がっただけで、治療の方はちっとも進歩していないから、病院の治療に意味はないということも示唆しているのです。

これはもう、医学・医療を愚弄しているといってもいい暴言です。

この論法の誤りは、「がんもどき」の近藤誠医師のそれと同じで、いったんできたがんについては治療によって改善することを最初から認めていない点にあります。

なぜなら、がん発症による「余命」を固定的にとらえているからです。

しかし、現在の治療は治癒や寛解だけでなく、末期の患者も治療によって生存期間を延ばしている例はいくらでもあります。

つまり、早期発見で早めに治療することの価値を、最初から見ようとしていないのです。

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そもそも、がんの生存率は各ステージごとに比較するものです。

5年生存率の向上がそれほど疑わしいというのなら、どのようなデータのどの部分がそうだというのかを示すべきですが、もちろんそんなものはありません。

つまり、川竹文夫さんの話は、そもそも医学的にまともに検証しようがないのです。



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まあ、趣旨が「治療の否定」にあるのですから、要はケチをつけたいだけなのでしょう。

こうした川竹文夫さんの「教え」を額面通り受け止める患者がいれば、その人は治療の機会を逃してしまうことが心配です。

(次回に続く)

川竹文夫さんについて、詳しい論評はコチラ>>
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