動物性たんぱく質、肯定論VS否定論の比較をしてみると…… [健康情報、本当の話]
肉や乳製品などの動物性たんぱく質を否定する「健康論」が一部にあります。生活習慣病の原因だというのです。しかし、それを全く食べないというのは貴重な栄養源を失うことになります。では、動物性タンパク質をどのくらいなら食べてもいいのか。否定論者はそれについて具体的に数字を出しません。是非を言うなら、根拠はあるのでしょうから、数字ぐらい出せるのではないでしょうか。
前回、前々回見てきた新谷弘実さんの『病気にならない生き方』(サンマーク出版)という本について、引き続き書いていきます。
同書には、肉や牛乳などの「動物性たんぱく質否定論」も書かれています。
これは、昨今のダイエットや粗食ブームの先駆けになったといわれる幕内秀夫さんらが主張しています。
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幕内さんの著した『粗食のすすめ』(新潮社)では、不飽和脂肪酸が多い精肉や肉製品、さらには牛乳、乳製品など動物性たんぱく質を控えることを説いています。
この「すすめ」は、たとえば“カリスマ医師”といわれる石原結實さん、NHK集金人からディレクターになった元腎臓がん患者の川竹文夫さんなど、多くの人に読まれている健康情報の著者にも使われています。
しかし、こうした人たちの主張は、動物性タンパク質を否定する論拠として相応しいデータが出てきたためしがありません。
新谷弘実さんは、肉を禁忌とする理由に「マクガバンレポート」を挙げています。
しかし、これは肉が過剰になりがちなアメリカの食生活に対するもので、日本人の平均的肉摂取量をもとにした報告ではありません。
一方、老年学者の柴田博さんは『肉食のすすめ』(経済界)で、日本人は高度経済成長期の昭和40年頃から牛乳や牛肉の摂取量が次第に増えていき、その結果、昭和22年にやっと50歳だった平均寿命が伸び、昭和45年には世界一の長寿国になったと日本人を根拠にして「肉禁忌論」に反証しています。
「たった20年余りの間に、日本人の寿命が伸びた最大の貢献者は、いうまでもなく肉食です。それまで、日本は脳卒中天国で、これが平均寿命を低下させている最大の原因でした。この脳卒中の予防に、肉食が大きな力を発揮し、日本人の平均寿命は、猛スピードで上昇したのです。
肉には、植物性タンパク質や魚では補えない栄養素や生理活性物質が含まれています。戦後、肉を上手に食卓に取り入れたからこそ、日本人は世界で最も長生きになれたのです。
なのに、まだ一部では肉を悪玉扱いして、高齢者には肉は必要ないなどという俗説が大手を振って歩いています。いわれなき肉への差別は、早く払拭しなければなりません」
「結論からいえば、植物性食品と動物性食品を比べると、動物性食品に軍配が上がります。たとえば、卵、牛乳、肉、魚などの動物性食品では、一つ一つのアミノ酸価が基準値を上回っており、100の価を示しています。対して植物性食品は、良質のタンパク質だといわれる大豆でも八六、穀物の中では質が良いといわれる精白米も六四にしか過ぎません。つまり、効率よく必須アミノ酸を摂るためには、動物性食品が欠かせないわけで、植物性食品主体では、どうしても必須アミノ酸が不足してしまうのです」
鈴木敦史さんと田島眞さんの『粗食は大敵』(はまの出版)にはこう書かれています。
「現在、長寿の一因は動物性タンパク質の摂取量ののびにあり、世界各国の調査から動物性タンパク質の摂取量が20gをこえないうちは平均寿命はあまりのびないというのが定説となっている。日本人がその水準に達したのは1959(昭和34)年だが、その後年々増加し、寿命もそれとともにのびているのである」
「そんなこといっても、メタボとか肥満が心筋梗塞や高脂血症の原因とか言うではないか」というかもしれませんが、柴田さんにしても鈴木さんらにしても、際限なく肉を食べろとは言っていません。
たとえば柴田さんは、現在の日本人の平均的肉の摂取量(78g/日)がちょうどいいとし、鈴木さんらは、「高齢になっても肉食はすすめたいが、せいぜい1日100gぐらいまでがちょうどいい」(『粗食は大敵』)としています。
要するに、食べ過ぎてはいけないが今よりも減らす必要はない、ということです。
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そして、目安となる数字も示しています。
この論争、結論は出ていませんが、少なくとも、「肉食べろ」論者のほうが、具体的な数字も示していて説得力があります。
日本人というのは真面目というのか、ある意味、自分でものを考えるのが苦手というのか、肉をやめろ、といわれると、全く食べなくなり、○○が体にいいというと、それだけを食べる、オール・オア・ナッシングの食生活に陥る人がいます。
しかし、肉であろうが野菜であろうが、人間にとって必要な食材です。抽象的ですが、バランスの良い食生活が大切です。
私たちの中で、食餌指導をしなければならない人が、いったいどれだけいるのでしょうか。
筆者は個人的に、特定の食材を持ち上げたり、禁忌としたりする「健康法」には注意が必要だと思っています。
詳しくはコチラ>>
(次回に続く)
前回、前々回見てきた新谷弘実さんの『病気にならない生き方』(サンマーク出版)という本について、引き続き書いていきます。
同書には、肉や牛乳などの「動物性たんぱく質否定論」も書かれています。
これは、昨今のダイエットや粗食ブームの先駆けになったといわれる幕内秀夫さんらが主張しています。
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幕内さんの著した『粗食のすすめ』(新潮社)では、不飽和脂肪酸が多い精肉や肉製品、さらには牛乳、乳製品など動物性たんぱく質を控えることを説いています。
この「すすめ」は、たとえば“カリスマ医師”といわれる石原結實さん、NHK集金人からディレクターになった元腎臓がん患者の川竹文夫さんなど、多くの人に読まれている健康情報の著者にも使われています。
しかし、こうした人たちの主張は、動物性タンパク質を否定する論拠として相応しいデータが出てきたためしがありません。
新谷弘実さんは、肉を禁忌とする理由に「マクガバンレポート」を挙げています。
しかし、これは肉が過剰になりがちなアメリカの食生活に対するもので、日本人の平均的肉摂取量をもとにした報告ではありません。
一方、老年学者の柴田博さんは『肉食のすすめ』(経済界)で、日本人は高度経済成長期の昭和40年頃から牛乳や牛肉の摂取量が次第に増えていき、その結果、昭和22年にやっと50歳だった平均寿命が伸び、昭和45年には世界一の長寿国になったと日本人を根拠にして「肉禁忌論」に反証しています。
「たった20年余りの間に、日本人の寿命が伸びた最大の貢献者は、いうまでもなく肉食です。それまで、日本は脳卒中天国で、これが平均寿命を低下させている最大の原因でした。この脳卒中の予防に、肉食が大きな力を発揮し、日本人の平均寿命は、猛スピードで上昇したのです。
肉には、植物性タンパク質や魚では補えない栄養素や生理活性物質が含まれています。戦後、肉を上手に食卓に取り入れたからこそ、日本人は世界で最も長生きになれたのです。
なのに、まだ一部では肉を悪玉扱いして、高齢者には肉は必要ないなどという俗説が大手を振って歩いています。いわれなき肉への差別は、早く払拭しなければなりません」
「結論からいえば、植物性食品と動物性食品を比べると、動物性食品に軍配が上がります。たとえば、卵、牛乳、肉、魚などの動物性食品では、一つ一つのアミノ酸価が基準値を上回っており、100の価を示しています。対して植物性食品は、良質のタンパク質だといわれる大豆でも八六、穀物の中では質が良いといわれる精白米も六四にしか過ぎません。つまり、効率よく必須アミノ酸を摂るためには、動物性食品が欠かせないわけで、植物性食品主体では、どうしても必須アミノ酸が不足してしまうのです」
鈴木敦史さんと田島眞さんの『粗食は大敵』(はまの出版)にはこう書かれています。
「現在、長寿の一因は動物性タンパク質の摂取量ののびにあり、世界各国の調査から動物性タンパク質の摂取量が20gをこえないうちは平均寿命はあまりのびないというのが定説となっている。日本人がその水準に達したのは1959(昭和34)年だが、その後年々増加し、寿命もそれとともにのびているのである」
「そんなこといっても、メタボとか肥満が心筋梗塞や高脂血症の原因とか言うではないか」というかもしれませんが、柴田さんにしても鈴木さんらにしても、際限なく肉を食べろとは言っていません。
たとえば柴田さんは、現在の日本人の平均的肉の摂取量(78g/日)がちょうどいいとし、鈴木さんらは、「高齢になっても肉食はすすめたいが、せいぜい1日100gぐらいまでがちょうどいい」(『粗食は大敵』)としています。
要するに、食べ過ぎてはいけないが今よりも減らす必要はない、ということです。
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そして、目安となる数字も示しています。
この論争、結論は出ていませんが、少なくとも、「肉食べろ」論者のほうが、具体的な数字も示していて説得力があります。
日本人というのは真面目というのか、ある意味、自分でものを考えるのが苦手というのか、肉をやめろ、といわれると、全く食べなくなり、○○が体にいいというと、それだけを食べる、オール・オア・ナッシングの食生活に陥る人がいます。
しかし、肉であろうが野菜であろうが、人間にとって必要な食材です。抽象的ですが、バランスの良い食生活が大切です。
私たちの中で、食餌指導をしなければならない人が、いったいどれだけいるのでしょうか。
筆者は個人的に、特定の食材を持ち上げたり、禁忌としたりする「健康法」には注意が必要だと思っています。
詳しくはコチラ>>
(次回に続く)
ご訪問&niceありがとうございました♪
by nyankome (2010-10-15 17:01)